SusHi Tech Challenge
2024のグランプリ受賞企業である、株式会社ファーメンステーション・酒井代表にインタビューをさせていただきました。
ファーメンステーション社は、未利用資源を再生・循環させる社会の構築を目指すバイオものづくりスタートアップ。独自の未利用バイオマス・微生物データベースと発酵アップサイクル技術を活用し、フードロス/ウェイストおよびその他未利用バイオマス由来のバイオ素材を開発・製造しています。
同社はSusHi Tech Challenge
2024において見事グランプリを獲得し、大きな話題を集めました。代表取締役・酒井氏は、リベンジの意味も込めて臨んだこのイベントでの経験、そして同社が今後目指すビジョンについても語ってくださいました。
- ―――改めて、SusHi Tech Challenge 2024においてグランプリ受賞、おめでとうございます。本日はSusHi Tech Tokyo 2024を振り返って、ご感想や貴社の取り組みについてお伺いしたいと思います。
- ―――まずはSusHi Tech Challenge 2024にエントリーされたきっかけをお聞かせいただけますか。
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今回のSusHi Tech Challenge
2024で、グローバルな市場に向けて自分たちの技術とサービスをアピールしたいという強い意気込みがありました。前回参加したCity-Tech
Tokyo
2023*1ではファイナル進出ならず、悔しい思いをしたので、今回は“リベンジ”のつもりで準備を進めました。
私たちのパーパスは「Fermenting a Renewable Society」。未利用資源に新たな価値を見出し、これらが生まれ変わり、再生・循環する社会を構築していく。そのためには、国内だけではなくグローバル市場で事業を展開していく必要があります。こうしたグローバルなステージで自分たちのメッセージや事業について発信していくことが重要だと感じていました。*1 SusHi Tech Tokyoの前身となる東京都主催のグローバルイベント (https://city-tech.tokyo/)
- ―――熱い意気込みで参加され、見事な成績を収められましたね。きっと、様々な努力の賜物かと思います。ピッチコンテストに向けた準備では、どのような取り組みをされたのですか。
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今までも様々なピッチコンテストに参加させていただきましたが、SusHi
Tech Challenge 2024では「City-Tech Challenge
2023でのフィードバックを活かすこと」「グローバルを意識したピッチを行うこと」の2点を徹底しました。
City-Tech Challenge 2023ではファイナル進出には至りませんでしたが、セミファイナルが終わった後、審査員を訪ねて自身のピッチに対するフィードバックをいただきました。そこで、「市場の表現が分かりにくかった」「グローバル展開に関する説明が足りなかった」などの具体的な改善点が見えてきました。
次に、以前から繋がりのある海外のメンターに相談し、グローバルで高い評価を得ているバイオスタートアップのピッチ動画をいくつか紹介してもらい、移動中などの時間に覚えるほど見ました。その中で、「グローバル特有のピッチのフォーマットやスタイル」などを理解していきました。
スライドのデザインや構成なども日本と大きく異なっていることが分かったため、バイオスタートアップに詳しい海外の知人にスライドデザインの添削を依頼するなどの工夫をしました。
そうしてピッチを完成させた後は、ひたすら練習してきました。何度練習してもパッと出てこない表現などは、本質的に自分が伝えたい内容ではないと考えていたため、自分が納得できる言い回しを模索するのに苦労しました。
- ―――入念な準備の上、当日に臨まれたわけですね。ピッチ当日はどのような心境でしたか。
- ファイナル進出を強く目指していたため、ファイナル進出が決まった際は非常に嬉しかったのと同時に安心もしました。またファイナルについては、審査員や会場の方々からの貴重なフィードバックを得られる絶好のチャンスだと捉え、どのような学びが得られるか非常に楽しみでもありました。
- ―――結果的に御社はグランプリとスポンサー賞を6つも受賞されましたが、これらの成果に対するご感想をいただけますか。
- 当初は、グランプリはおろか、スポンサー賞も1つ受賞できれば御の字とばかり思っていた中で今回の結果でしたので、正直驚きました。賞金1,000万円は非常に嬉しかったですし、スポンサーの皆様と直接交流できたことで、今後のパートナーシップ形成の可能性が広がったことも大きな収穫です。
- ―――優勝賞金の1,000万円はどのように活用されましたか。
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SusHi Tech Tokyo
2024はグローバルに羽ばたくイベントであるため、ピッチにエントリーした時から優勝賞金はグローバル展開のために使うと決めていました。直近も賞金を活用し、私と社内メンバーで2週間アメリカへ出張しておりました。
我々としても、あのような場でご評価をいただけたことに対して、新たな成果を出すことでその期待に答えていかなければいけないと考えており、SusHi Tech Challenge 2024の賞金が事業拡大につなげられたと自信を持って話せるような使い方をしていきたいと思います。
- ―――素敵な形でご活用いただき、ありがとうございます。プライズ獲得以外に、社内外での反響はありましたか。
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当日、ブースにてメディアの方とネットワーキングすることができ、テレビ番組に取り上げていただきました。
社内メンバーに関しても大いに盛り上がりましたし、同じ業界内の人からもポジティブな反応を多くいただけました。また、採用面でもプラスに働いてくれました。
- ―――今後の御社の事業成長について、ビジョンや意気込みなどをお伺いしてもよろしいですか?
- 現在、国内外の事業拡大を平行して進めている中で、まずは事業の拡大、技術の向上をしてまいります。また、弊社の事業軸が未利用資源から機能的なものを生み出すことであるため、会社のことを知っていただくだけでなく、弊社が目指している世界観の共有も目指していきたいです。その結果、事業性と社会性を両立させながら事業を拡大して利益を出すことができる会社の一事例として、今後も発信し続けなければならないと考えております。
- ―――SusHi Tech Tokyoの取り組みにはどのような価値があると感じられましたか?
- 東京発信のグローバルスタートアップイベントというのは今まで国内にはあまりなかったと思うので、大変素晴らしい取り組みだと思いました。国内外のあらゆるエコシステムプレイヤーが勢揃いするイベントであり、グローバルなネットワークを築ける機会が提供される点は大きな魅力だと感じます。東京都からのコミットも非常に強く感じられたので、ぜひ継続して開催していただきたいです。
- ―――最後に、SusHi Tech Tokyo 2025への参加を検討しているスタートアップの皆様に、ぜひ一言をお願いします。
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グローバル展開を見据えているスタートアップであれば、迷わずチャレンジした方が良いイベントだと思います。日本のスタートアップの活動が海外に認知されること自体があまりないため、世界の誰かが日本で押さえておきたいスタートアップをリサーチした際に、SusHi
Tech
Tokyoの紹介記事やWebサイトが引っかかる可能性もあります。実際に弊社も、イベント参加以後にグローバルなClimateTech領域のスタートアップ向けプログラムからお声がかかったこともありました。
多様な国内大企業や行政関係者も来場されるため、新規の協業や投資を持ち掛けたいスタートアップにとっては、参加するメリットしかないと思います。
ファーメンステーションは、SusHi Tech Tokyoに大きなチャンスをいただきました。
2025年のSusHi Tech Tokyoも楽しみです。会場でお会いしましょう!
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■ プロフィール情報
会社名:株式会社ファーメンステーション
代表者:代表取締役 酒井 里奈
所在国:日本
Webサイト:https://fermenstation.co.jp/
事業概要:ファーメンステーションは「Fermenting a Renewable Society(発酵で楽しい社会を!)」をパーパスに、未利用資源を再生・循環させる社会の構築を目指すバイオものづくりスタートアップ。独自の未利用バイオマス・微生物データベースと発酵アップサイクル技術を活用し、フードロス/ウェイストおよびその他未利用バイオマス由来のバイオ素材を開発・製造。発酵アップサイクル技術の基盤と、開発するアップサイクル原料をもとに、食品・化粧品等の原料製造・販売を行う「原料事業」、パートナー企業と共創し食品・飲料工場の製造過程等で出る副産物・食品残さ等をアップサイクルしたバイオ素材等を開発する「共創事業」等を展開。 -
■ SusHi Tech Tokyo 2025
<SusHi Tech Tokyo 2025>
会期:2025年5月8日(木)~10日(土) 会場:東京ビッグサイト
SusHi Tech Tokyo 2025におけるスタートアップブース出展はこちら
(https://sushitech-startup.metro.tokyo.lg.jp/booth-exhibition/)
ピッチコンテスト「SusHi Tech Challenge 2025」へのお申し込みはこちら
(https://sushitech-startup.metro.tokyo.lg.jp/pitch-contest/)