City-Tech Challenge 2023(現:SusHi Tech Challenge)のグランプリ受賞企業である、京都フュージョニアリング株式会社の代表取締役社長COO・世古氏、渉外部マネージャ・與語氏にインタビューをさせていただきました。
京都フュージョニアリング社は、フュージョン(核融合)エネルギーの社会実装によってカーボンニュートラル社会への変革を目指すエンジニアリング企業です。核融合発電プラントに必要な各種装置の開発・製造、及びそれらを統合したシステムの実証に取り組んでいます。
同社はCity-Tech Challenge 2023において見事グランプリを獲得し、大きな話題を集めました。代表取締役社長COO・世古氏、渉外部マネージャ 與語氏は、イベントでの経験、そして同社が今後目指すビジョンについても語ってくださいました。

―――改めて、City-Tech Challenge 2023においてグランプリ受賞、おめでとうございます。本日はCity-Tech. Tokyo 2023(現:SusHi Tech Tokyo)を振り返って、ご感想や御社の取り組みについてお伺いしたいと思います。
―――まずはCity-Tech. Tokyo 2023にエントリーされたきっかけをお聞かせいただけますか。
世古氏:まず、グローバル色を強調した日本最大級のスタートアップカンファレンスであったという点が大きいです。グローバル市場での事業拡大を目指す我々にとって認知・露出拡大の好機と捉え、参加しました。
スタートアップとは、新たな市場・産業を生み出すことを目指す企業です。フュージョンエネルギーの実現を目指す我々の場合は、産官学の関係者のみならず、広く一般の方々にもフュージョンエネルギーの良さ・面白さを知ってもらいたいと考えていました。グランプリ獲得時にもオーディエンスの皆さまには、「京都フュージョニアリングよりも、フュージョンエネルギーそのものについて覚えておいてほしい」とお伝えしましたね。
また、賞金1000万円の獲得ももちろん目標にしていました。
―――フュージョンエネルギーの社会実装を誰よりも本気で追及する姿勢で参加され、見事な成績を収められましたね。当日のピッチコンテスト・ブース出展では、どのような取り組みをされたのですか。
世古氏:ピッチでは、フュージョンエネルギーについて分かりやすく、インパクトがある形で伝えることを重要視しました。その上で、会社としての事業概要も説明する、というコンセプトでした。
與語氏:出展では、主力プロダクトのひとつであるジャイロトロン*1を中心に、「UNITY」プロジェクト*2の概要もポスター展示しました。スタッフを多く配置して活気あるブースを作った結果、大手テレビ局からの取材も受けて、認知拡大に一役買った実感があります。
世古氏:小池都知事ご本人が我々のブースも見てくださったことをよく覚えています。出展者としては、短い時間でも都政・イベント運営のトップが直接来てくれた熱量に参加者一同のテンションが上がりました。
  1. *1 磁場閉じ込め方式の核融合炉において、核融合反応の条件のひとつであるプラズマ状態を作り出すために必要な加熱システム
  2. *2 フュージョンエネルギーによる発電に向けた工学技術を統合実証するプロジェクト
―――ピッチコンテスト・ブース出展両方で認知拡大に向けて工夫されたということですね。結果的に御社はグランプリを受賞されていますが、イベントの成果に対するご感想を頂けますか。
世古氏:ピッチ・出展ともに、認知の拡大という目標が大いに達成できたと感じています。まず、ピッチの予選から決勝まで合わせると、オーディエンスは500名にものぼりました。
また、投資家50社、東京都関係者40名、スタートアップ30社ほどと交流することが出来ました。東京を、日本をもっと面白くしたいという意気込みのもと、グローバルでもトップレベルの参加者が集まっていました。特に投資家の半分以上は海外の方でしたね。当社も2023年当時は、さらなる事業拡大を目指して次の資金調達に向けた準備を進めているところでした。City-Tech. Tokyo 2023への参加も追い風となり、現在に至るまでに累計約160億円の資金調達を成功させることができました。こうした動きもあって、海外拠点も当時のイギリスに加えて、アメリカ、ドイツ、カナダへと広がっています。
與語氏:出展では、企業の方や一般の方が、フュージョンエネルギーにどのような疑問を持ち、どこに関心を持つのかが鮮明に理解できました。幸いなことにCity-Tech. Tokyo 2023参加後にメディア露出・イベント参加も増えていますが、こういった「世間の感覚」を知ったことは、広報・PRの上で非常に重要な学びでした。
―――グランプリ賞金の1,000万円はどのように活用されましたか。
世古氏:社内での還元も考えたのですが、「賞金はフュージョンエネルギー業界のさらなる発展のために活用したい」という社内の声が大きかったです。そこで、フュージョンエネルギーの国内大手学会へ寄付し、学生が国際学会へ参加する際の渡航費等に活用いただくように要望を伝えました。フュージョンエネルギー産業の育成、次世代人材の育成に繋がってほしいですね。
―――素敵な形でご活用いただき、ありがとうございます。賞金獲得以外に、社内外での反響はありましたか。
世古氏:1,000万円の賞金獲得によって、社内の士気はさらに1段階高まりました。それは、単に金銭的な喜びというよりも、フュージョンエネルギーが世間に認めてもらえたことの嬉しさ・やりがいが大きかったと感じます。
與語氏:先述の通り大手メディア等の露出は増えました。ほかにも、ピッチ・出展ブースを見て、新たに3名の社員を採用できました。社員数160名の弊社にとって、非常にポジティブな採用への影響が生まれたと感じています。
―――今後の御社の事業成長について、ビジョンや意気込みなどをお伺いできますか?
世古氏:フュージョンエネルギー開発は日本政府の最重要課題の一つと位置付けられており、国際的に競争が激しい領域でもあります。他国に負けないように、日本がエネルギー自給し、産業輸出できる段階までフュージョンエネルギー産業を発展させることが京都フュージョニアリングの使命だと考えています。
今後100年を見据えると、フュージョンの市場ポテンシャルは非常に大きく、サプライチェーン上では町工場から大手製造業企業まで日本の実力ある企業が関与する一大産業になると考えます。そういった大きな可能性を秘めた産業の旗振り企業として、そしてCity-Tech Challenge 2023の初回グランプリ企業として、これまで海外市場で培ってきた実績をもとに、世界での存在感をさらに高めていけるよう努力していきます。
―――最後に、SusHi Tech Tokyo 2026への参加を検討しているスタートアップの皆様に、ぜひ一言をお願いします。
SusHi Tech Tokyo 2026を通じて、東京からまた日本から、よりワクワクする技術や社会像を世界に届けていきましょう!
■ プロフィール情報
会社名:京都フュージョニアリング株式会社
代表者: 代表取締役会長 小西 哲之
代表取締役社長 世古 圭
所在国:日本
Webサイト:https://kyotofusioneering.com/
■ SusHi Tech Tokyo 2026
会期:2026年4月27日(月)~29日(水・祝) 会場:東京ビッグサイト
スタートアップブース出展へのお申し込みはこちら
https://sushitech-startup.metro.tokyo.lg.jp/booth-exhibition/
ピッチコンテスト「SusHi Tech Challenge 2026」へのお申し込みはこちら
https://sushitech-startup.metro.tokyo.lg.jp/recruiting-pitch/