SusHi Tech Challenge 2025のセミファイナリストに選出され、Corporate Partner Prizeを受賞した株式会社メカノクロスでCorporate Development & Brandingチームの責任者をされている西岡氏にインタビューをさせていただきました。
株式会社メカノクロスは、革新的な「メカノケミカル有機合成技術」を展開する、北海道札幌市を拠点にした北海道大学発のスタートアップです。従来の有機合成法と比較して、使用する溶媒の量を極少量まで減少させることができるこの技術は、環境負荷の低減や製造効率の向上に貢献し、国内外の化学・製薬業界から注目を集めています。

―――SusHi Tech Challenge 2025においてはセミファイナリスト選出、そして「Corporate Partner Prize」の受賞おめでとうございます。本日はSusHi Tech Tokyo 2025を振り返って、ご感想や御社の取り組みについてお伺いしたいと思います。
―――まずはSusHi Tech Challenge 2025にエントリーされた理由をお聞かせいただけますか?
当社は北海道の会社で、北海道や東京の一部を中心に少しずつ名前が知られてきたフェーズでした。国内外の優秀なスタートアップが集う場で、自社の技術や事業の魅力がどこまで伝わるのか、そして市場の中でのポテンシャルを確認したかったというのが参加の大きな理由です。特に、SusHi Tech Tokyoのような大きなイベントではアクセラレーターの方や、国や東京都などでスタートアップ支援のプログラムを推進している方なども多く来場されるので、これらのスタートアップ支援機構にアプローチすることを目指していました。
また、化学業界内だけでなく、一般の方や他業界のBtoB企業など、普段アプローチできていない層に対して、当社の技術がどう受け止められるかを検証したいという思いもありました。
―――当日のピッチコンテスト・ブース出展では、どのような取り組みや工夫をされたのですか。
展示では、当社の技術が来場者にすぐ伝わるように、ポスターの構成を工夫しました。有機合成の会社なので、化合物の式を見せたり、5枚のポスターを左から順にストーリーが流れるように配置したりと、来場者の導線を意識した設計にしました。
専門家以外の方にも、ぱっと見て「すごそう」「良さそう」と思ってもらえるように、ビジュアル面でも工夫を行いました。ソリューション系の技術は絵で表現するのが難しいのですが、最大限わかりやすく伝えるよう努めました。
―――STTに参加して得られた成果について、具体的に教えてください。
当初の目標だったスタートアップ支援機構とのつながり強化は、かなり達成できたと感じています。特に東京都との接点は増え、様々なプログラムに応募するようになりました。その結果、2025年7月には東京コンソーシアムによる「グリーンスタートアップ支援」プログラムの支援対象スタートアップに採択されました。また、過去に接点があったけれども動きが止まっていた顧客候補企業との再接点が生まれたことも、今後に向けた良い機会だったと思っています。
その他に、海外企業などに営業をする際に、アジア最大級のスタートアップイベントで登壇したことや、「東京都に認められている企業」として紹介できるようになったことは、信頼感の醸成にもつながっています。
―――SusHi Tech Tokyo 2025以降、事業はどのように進展しましたか?
海外進出に向けた取り組みを本格化させました。まず、先ほど申し上げたように、STTに出場したことを名刺代わりに活用しました。他にも、STTで出会った海外アクセラレーターを起点にして、アジアのいくつかの国における化学市場と弊社のフィット感を検証しました。最終的にはフィットしないと判断したのですが、STTでの出会いが良い検証に繋がったと思っています。
また、装置の開発や中期経営計画の策定、組織の拡大など、事業全体の基盤づくりにも注力しています。この半年で組織は大きく成長し、顧客数も倍増しました。今後の戦略や中期経営計画を作る際に相談することができるパートナーにSTTで出会えたことがとても役に立っていると感じています。
―――今後の展望について、ビジョンや意気込みなどをお伺いできますか?
当社は「メカノケミカル有機合成で日本から世界へ産業革命を起こす」というビジョンを掲げています。これまで化学の世界、有機合成は百年以上大きな技術革新がなく、溶媒に頼るのが当たり前でした。当社の技術は、有機溶媒をほとんど使用せずに有機合成を行えるため、脱炭素対策やコスト削減の面で従来プロセスより優位性を持ち、高い反応性と環境適応性を兼ね備えています。次の100年の新しい化学の進化を紡いでいきたい、という思いを企業として常に意識しています。
社会実装を加速させるためには、当社の技術を使って製品を商用化してくれる企業を増やすことが重要です。そのために、装置開発や新規顧客との接点拡大、そしてパートナー企業との連携を進めています。国内での実績を積み重ねながら、社会実装・商用化が出来た際には、「メカノケミカル有機合成」の先駆企業として、世界中から当社に問い合わせが来るような環境を整えていきたいと考えています。
―――最後に、SusHi Tech Tokyoはどのような企業におすすめですか?
海外展開を視野に入れているスタートアップには、非常に価値のある場だと思います。イベントの名称がキャッチーで海外からの印象もよいので、今後海外での認知が高まっていき、より多くの海外のステークホルダーが参加を希望すると思っています。
■ プロフィール情報
会社名:株式会社メカノクロス
代表者:代表取締役 齋藤 智久
所在国:日本
Webサイト:https://mechanocross.com/
■ SusHi Tech Tokyo 2026
会期:2026年4月27日(月)~29日(水・祝) 会場:東京ビッグサイト
スタートアップブース出展へのお申し込みはこちら
https://sushitech-startup.metro.tokyo.lg.jp/booth-exhibition/
ピッチコンテスト「SusHi Tech Challenge 2026」へのお申し込みはこちら
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